コロナ時代の地方:職場、行政、教育、生活の変化と明るい未来

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新型コロナウイルスはいつまで続くのでしょうか。そして、それを見据えて企業、事業者をはじめ、一般民や地方自治体、教育機関など、社会全体でどのように対応していく必要があるのでしょうか。

新型コロナウイルスの影響はいつまで続くのか

日本では新型コロナウイルスの収束について楽観視している人も少なくないようですが、欧米諸国ではコロナの収束に少なくとも2年かかると考えています。ロックダウン(都市封鎖)などで一時的に感染流行のペースは減少しても、行動制限などを緩めると感染は再度広がり、また何らかの対応策を導入することになるからです。詳しくは下記記事のインペリアルカレッジ論文を参考にしてください。

ワクチン開発が期待されていますが、それには早くて18か月かかると言われています。またどれほど効果的なのか副作用はないのかなどの実験が必要で、その後に大量生産して実用化できるまでに数年かかります。他には、何らかの治療方法が開発され、普及する可能性もありますが、今のところ望みうすです。あとは集団免疫を獲得するまで行動制限とその部分的緩和サイクルを続けるしかないので、そう簡単には元通りの社会には戻れません。

日本は緊急事態宣言が5月6日までということになっていますが、日本の「自粛要請」は多くの国で導入されているロックダウンに比べると強制力がないため、目標とされる80%の移動制限を達成するのは難しそうです。そうなると、1か月では期待する効果が得られないかもしれず、期限が延長される可能性があります。

いつかはそれが解除されるでしょうが、そうなると第二波の感染拡大が起き、再度の緊急事態宣言または同様の対策を導入しなければならなくなるでしょう。1918年に大流行したスペイン風邪の時も、最初の流行時よりも第2波、第3波の時の方が被害が大きかったのです。

このように考えると企業や事業者、自治体や一般民も「今だけ我慢すれば」「1か月たったら状況は元通りになるのだからそれまで踏みとどまる」ことばかり考え、現状体制のままじっと待つという選択をするのはいい考えとは言えません。

「以前はよかった」「早く前の生活に戻りたい」と過去ばかりを追うのではなく、一日も早く現実を受け入れ、変化に対応した人や組織だけが新しい時代に適応して生き残ることになるでしょう。

考え方によっては、過去に当たり前だと思っていた制約の多い社会から解き放たれた明るい未来が、コロナをきっかけに早くやって来ただけです。

それに合わせてデジタル化や都会脱出、地方創生、リモートワーク・リモートスタディ・リモート・エンターテイメント、オンライン・コミュニケーションなどを推進する絶好の機会が与えられていると言ってもいいのです。

働き方改革

新型コロナウイルス感染予防対策として在宅勤務が奨励される中、どうしても現場で働くことが必要なサービス、店舗、物流、医療・介護業界などをのぞき、オフィスワークはかなりの部分がリモートに移行しました。もともとフレキシブルな働き方が少しながらは浸透しつつあった欧米諸国では、コロナによる厳しいロックダウンルール導入で在宅勤務が一気に現実のものになりました。

日本ではリモートワークが浸透しておらず、ロックダウンも欧米ほど厳しくないため、そこまではいきませんが、東京や大阪のオフィス街にいた人の数が、コロナ感染拡大前の2月前半と比べ、5~6割減りました。とはいえ、東京など7都府県での減少が2割台にとどまる地域もありばらつきがあるようです。

大企業では減少率が高いものの、中小企業はリモートワークに適応していないところも多いようです。オフィス街の取材で通勤中の会社員が「書類にハンコを押すために出社せざるを得ない」と語っていましたが、外国人に「ハンコ」の説明をしても到底理解してもらえないでしょう。

民間企業だけではありません。官公庁が集中する霞が関周辺では通勤減少が56.3%減にとどまっています。国会対応などで出勤を避けられない事情があるのかもしれませんが、公の機関が見本を示さなければならないでしょう。

さらに全国的に見ると、都心部に比埼玉や千葉など近郊地域では減少率が低く、関西や福岡でも東京に比べると、通勤があまり減少していません。

少なくともオフィスベースの仕事をすべて在宅勤務にするためには、ハンコ文化を撲滅し、情報を紙に頼らずデジタル化、コミュニケーションも会議もすべてオンラインでできるような体制を整えることが不可欠です。

コロナ以前でも海外ではデジタル化が進んでいましたが、IT先進国であるはずの日本ではなぜか旧態依然の働き方にしがみつく人が多いのは不思議です。その変化を後押ししてくれるのが新型コロナウイルスと言っていいでしょう。

私はかねてからイギリス(と時々日本)で在宅勤務をしており、ヨーロッパ諸国や日本の人々と一緒にリモートで連絡を取りながら仕事をしていますが、何の不便もありません。

ロックダウン中のイギリスでは、これまで職場に通勤する毎日から突如在宅勤務に切り替えたという人がたくさんいます。慣れるまではいろいろ大変な人もいたようですが、そのうちにリモートワークでも何ら問題なく業務が進むということがわかってくるようです。

コミュニケーションは電話やSkypeですむし、ビデオ会議もZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなどで問題なくできます。地理的な制約がないため、これまで簡単に出席できなかった遠隔地に住む人まで参加できて以前より便利になったという場合もあります。

リモートワークでも仕事がはかどるだけでなく、通勤時間やストレスの短縮、無駄な会議や作業からの解放、自分好みのリラックスした労働環境、個人で管理できるフレキシブルなスケジュールなど、リモートワークの醍醐味を満喫し、コロナ流行が終わっても以前の働き方に戻りたくないという人が多くなるでしょう。もちろん、これには個々の居住環境やライフスタイル、個人の性格にもよるので向き不向きもあるでしょうが。

地方の時代

日本よりも厳格なロックダウンにより、働き方や生活スタイルががらりと変わったイギリスでは、前にも増して「住んでいるところ」により様々な違いや「格差」が浮き彫りになってきています。

ロンドンをはじめとしてバーミンガム、マンチェスターなどの都市部では人と人との距離が近いことからウイルス感染が広がる確率が高いのは当然です。それに比べ地方では感染率も低く、ロンドン住民が地方に持つセカンドホーム(別荘)、若者が親の実家に「疎開」するといったケースも見られました。

このような状況は産業革命後のイギリスで都市問題により、ペストなどの疫病が流行ったスラム街のある都心から富裕層が郊外や田園地帯に逃げ出したことを思い出させます。

感染病対策だけではありません。ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)と呼ばれる人と人との間をあける対策にしても、都会では人があふれ街を歩くのにも奨励されている2メートルの距離を確保することが難しいことがあります。ロンドンでは通勤電車や地下鉄、バスなどの公共交通機関も、東京ほどではありませんが混雑することもあります。

また、散歩などの運動や外気を浴びるために訪れる広場や公園も人がいっぱいになることがあります。

コロナ騒ぎで在宅勤務に慣れてくると、これまで長い時間をかけて通勤していたのは何だったのだろうと、コロナ流行がおさまっても今の在宅勤務を続けたいという人が多く出てきます。

サービス業や製造業、物流などの現場は別ですが、オフィスベースの仕事はリモートで問題なくできます。「実際に会う」ことを前提としない働き方が普通になると、会議出席や得意先訪問、出張なども必要なくなり時間も経費も節約できます。

通勤もしなくていいのなら、職場のある都会に住む理由はなくなります。ロンドンなどは地価が高く同じ家賃や住宅価格をはらうのなら田舎に庭付きのゆったりした家を買うことが可能になりますが、日本でも同じことでしょう。

在宅勤務といっても、家賃の高いロンドンで狭いフラット(アパートメント)に住んでいる人は働く場所を確保することさえ難しく、家族と同居していてはビデオ会議もままならないといった環境です。

ビデオ会議していても庭でのんびり日光浴しながらという人、となりで赤ちゃんが泣き叫ぶ声が聞こえる人など様々です。そうなると、わざわざ家賃や家の値段が高い都心部の狭いアパートに住むより郊外や田舎の庭付き一軒家に住みたいと思う人が多くなります。東京もそうですが、イギリスもロンドンに比べると地方の住宅価格は半分以下ということもあります。

もともとイギリス人は田舎好きなので都会に暮らす人は若者や外国人が多く、結婚して子供を持つと郊外や田舎に引っ越す人が多かったのですが、これからはその傾向がもっと顕著になるでしょう。ライフスタイルや家賃だけの問題ではなく健康や命の問題にかかってくるのですから。

日本人はイギリス人ほど田舎好きではなく、都会に住むことをよしとする人が多いようですが、これからは在宅勤務をするのなら地方に住んでもいいと思う人が増えるでしょう。特に感染病は東京をはじめとする都会で多く発生するわけなので、通勤電車や都会の人混みを避けて人口密度の低い地方の方が安心安全なのは間違いありません。

このように「密集して住む・働く」ことにリスクを感じる人が増え、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)が容易にとれる田舎に住み、わざわざ混雑するスーパーに行かなくても自分の庭で野菜が採れるような生活をしたいという人が増えるのは自然のなりゆきでしょう。

そしてこれまで何もかも一極集中していた国の在り方が地方の都市を中心とした多極集中に変わってくるでしょう。

東京に本社を置き、他社の関係者に直接会うことで仕事を進めるということが難しくなり、生産地や製造地に根付いて地元の需要に応えたり、デジタルマーケティングで商品を地方から全国、または海外の顧客に直接発送するやり方に変わらざるを得ません。

これまでも世界各地でのスマートシティの試み、日本でもトヨタが静岡県の東富士工場跡地を利用して建設するコネクティッド・シティー構想などのプロジェクトがありました。

こうした自動運転やテクノロジーを駆使した新しい街づくりは、コロナ以降に重要視されるだろう、オープンスペースや緑あふれる豊かな街づくり、歩行者中心の街路デザインなどと共に、地方都市をリニューアルするのに適した都市計画モデルだと言えます。

以前は東京と地方で情報格差があるというような考え方もありましたが、今では全国、いや世界中、どこにいてもほとんど変わりはありません。

これまで日本では、政治・経済・文化・交通機関など、すべてが東京に集中して、何かあったら地方から東京に出ていって仕事をすることが普通でしたが、その必然性は薄れてくるでしょう。

企業としても、地価の高い都会の一等地に大きく立派なオフィスを構える必要もなくなり、地方に引っ越したり、東京にサテライトオフィスだけ置くと言った選択もできます。

地方創生政策に躍起になっている地方自治体も、地域内にITビジネスに対応したオフィスを整備し、都会や地域外から企業を誘致する施策を導入するといいでしょう。

これまでは都会のライフスタイルにあこがれて地方を出ていく若者が多かったのですが、コロナで店舗や飲食店、映画館やライブハウスなどと言ったエンターテイメント施設が軒並み閉鎖となりました。

そうなると消費型生活から自宅で過ごす時間や戸外での散歩や運動を楽しんだり、自然回帰のライフスタイルに変わり、そういう時間の過ごし方に価値を発見する人が多くなるでしょう。

そういう人が増えると、人も車も多く、高いわりに居住空間が窮屈な都会生活に魅力を感じなくなる人も多くなり、コロナ騒ぎが終わってもその傾向は続くでしょう。

どんな業種が廃れるのか、廃れる事業をどうするか

新型コロナウイルスによる営業自粛や国民の行動制限により、世界中ですでに多くの業界で悪影響が出て倒産したり、そうなりそうな企業が出てきています。

航空業界や観光業界がその筆頭ですが、それ以外にも飲食店や小売店、サービス業など様々な業界に影響が出ています。

窮地に陥る企業を助けるための助成金も様々な形で利用できるし、無利子の借入金を調達することもできるかもしれません。そういう借入金などで当座のキャッシュフローさえ確保してしのげば、数か月後には元通りになるだろうと考えている企業もあると思います。

けれども、コロナによる不景気は通常の不景気とは違い、長期的に影響が出るものと考えた方がいいでしょう。

長い目で考えて簡単に回復しそうもない事業をしている人は、早いうちに既存事業をたたむことや、新たな制約の中で次の成長点を探って事業転換を考えた方がいいかもしれません。

これには下記のような業種が含まれます。

  • 観光業・旅行業(航空会社、旅行代理店、交通機関、ホテルや旅館ほか)
  • 飲食店(カフェ、レストラン、居酒屋、バー、ナイトクラブほか)
  • 小売店舗(デパート、ファッションブティック、本屋、玩具店ほか)
  • サービス業(美容・理容室、ネイルサロン、整体・マッサージほか)
  • エンタメ(各種アーティスト、ライヴハウス、コンサート場、カラオケ、パチンコ、娯楽場ほか)

顧客が訪問することで生計を立てている飲食店業などは、すぐには社会が元通りになることを期待しない方がいいでしょう。テイクアウトやデリバリーサービスを展開する、すし職人や有名シェフを擁する高付加価値商品を提供する高級店なら富裕層の個人宅での訪問販売などを模索する方法もあります。

これまで観光客を相手にしていた店舗やサービスはインバウンドの一見さん目当てではなく、地元客を対象にする必要があるでしょう。

ホテルなどは当座はコロナで自己隔離せざるを得ない人々の宿泊施設として利用してもらったり、リモートワーク用ワーキングスペースとして貸し出すことも考えられます。

スーパーや肉屋、魚屋、総菜屋など生活必需品である食べ物を売る店はある程度の売り上げは維持できるでしょうが、マイナスになることは避けられないので、配達やオンライン販売などの可能性も模索するべきでしょう。

今の時期に限らず、どんなビジネスをしていても、何らかのトラブルがあった時のリスクヘッジは大切です。現在の状況や将来を見据えて改善点を模索し、リサーチしてアンテナを張り巡らせ、新しいことにチャレンジし検証するといった、ビジネスモデルを見直すいい機会にもなるでしょう。

例えば長岡市のタクシー会社は「乗らないタクシー」として、スーパーなどの買い物代行や薬の受け取り、書類の配達や受け取りの代行を始めたと聞きました。

行政・教育・レジャーもデジタル・リモート化

働き方改革、地方創生、一極集中解消、デジタル化などの考えはもうずいぶん前から叫ばれ続けているのに、日本ではなかなか進んでこなかったコンセプトばかりです。

それを考えると、新型コロナウイルスの流行によって明るい未来が一足早くやって来ただけということもできます。

これをきっかけにして様々な側面で、デジタル化や都心脱出、リモートワーク、リモートスタディ、リモート・エンターテイメント、オンライン・コミュニケーションなどを推進する絶好の機会が与えられていると言ってもいいのです。

政府や自治体手続き

日本はテクノロジーが発達しているわりには、お役所仕事となるとなぜかいつまでたっても前時代的なやり方がまかり通っていてあきれます。ハンコだの、収入印紙だの、紙とインクの書類が幅を利かせ、今の時代にオンラインでの手続きができないのが不思議なものが何と多いことか。

諸外国では、ここ10年くらいのうちに何から何までオンライン化されてきたので、日本に帰るたびに役所や銀行に何度も足を運ばなければならないのに閉口します。

新型コロナウイルス対策の給付金はオンライン申請できるということなので、これをきっかけにこのような手続きがすべてオンライン申請できるようになれば、事務手続きが簡素化されるでしょう。

教育

日本では3学期半ばに突如学校が休校となったため、現場ではかなり混乱があったようです。

多くの先進国のように教育にITを導入済のところなら休校となってもオンライン授業やデジタルコミュニケーションで対応することができます。けれども日本は教育現場のデジタル化がひどく遅れているうえ、家庭でもスマホはあるがパソコンはないというところも多く休校中の教育が難しかったと聞きます。休校となった時点で教育をさっぱりあきらめたり、教師がプリントを印刷して家庭訪問して配ったところもありました。

諸外国でも新型コロナウイルスによる休校で教育現場に混乱が見られたものの、制約のある中で教育を継続する試みが見られました。スカイプやZoom を利用しての授業は多くの国で初めての試みなので、難しいところもあったようで、試行錯誤でやっています。

けれども、学校や教師から生徒・保護者へのコミュニケーションなどは、すでにメールが浸透しているのでスムーズに行われています。

日本でもこの機会に生徒にパソコンを配布して教育のデジタル化を進めるという話が出てきて、いい傾向だと思います。

イベント・レジャー

コンサートやライヴ、スポーツ観戦などのイベントは人と人との距離を離すことが難しいため、コロナ流行中は開催をあきらめるしかないようです。

けれども、そのような制約がある中、感染予防対策を導入しつつ最低限のスタッフでイベントを無観客で行い、それをライヴまたは録画で配信するといった試みも各業界で行われています。

そういうやり方でオンライン「観客」に満足度の高いライヴ体験をどのように与えるのか、課金方法をどうするのかなど、さまざまな課題をクリアする必要がありますが、これも大勢の人をつなぐ新しいイベントの在り方として注目したい分野です。

デジタル・コミュニケーション

スマホやパソコンを使ってのデジタル・コミュニケーションはすでに様々な形で浸透してきて来ます。3歳の子供と70歳のひいおばあちゃん・おじいちゃんがLINEやスカイプでコミュニケーションをするなんて、つい10年前には想像できたでしょうか。

デジタル・コミュニケーション・ツールはさらに進化していて、マイクロソフトはHoloportation(ホロポーテーション)という技術を開発しています。人物のホログラムをライヴでほかの空間に3Dで映し出し、その人が本当にそこにいるかのようにリアルタイムでコミュニケーションができるのです。

こういうリアルなコミュニケーションが可能になったら、新型コロナウイルスなどにかかったら重症化するリスクが高い高齢者に家族でも会えない時期にどんなに重宝するでしょうか。

様々な分野でのデジタル化と無人化

デジタル化は他にも様々な分野で進んでいて、ソーシャル・ディスタンスが重要となってくる感染病流行時に役立ちそうです。

特にリモート医療(遠隔医療)や無人運転、各種のロボット、無人化ショップやサービスなど、人々の生活になくてはならないインフラを身体を持った人を媒体とすることなく提供してくれるための技術は感染症拡大を防ぐのに大きな意味があります。

新しいライフスタイル

ロックダウン突入から1か月たったイギリスで国民はおおむねロックダウン政策を支持し政府のスローガン「Stay Home, Protect NHS, Save Lives」を忠実に守っているようです。

これは、政府が従業員の給与や自営業者の収入の8割を補償すると約束したゆえに経済的な心配をしなくていいという安心感からもあるし、4月には珍しく陽気が続いたことも手伝っているかもしれません。

運動不足解消のためもあって私たち家族も毎朝の散歩を日課にしているのですが、ほかにも野外でジョギングや散歩をする人もよく見かけます。

また家にいる時間が長くなったため、庭仕事やDIYに励む人が増えているようで、散歩中に見るフロント・ガーデンも手入れのいい芝生や花壇が目を楽しませてくれます。

これまでパブやクラブに出かけてナイトアウトを楽しんでいた若い人たちの間でもライフスタイルの変化が顕著に見られます。

たとえば、これまでは外食やテイクアウトが多かった人たちが自宅で手の込んだ料理を作ったり、パンやケーキを焼く人が増えているのです。実は私もお気に入りのベーグル屋さんが休業してしまったためベーグル作りに挑戦しようと思ったのに、小麦粉やイーストが軒並み売り切れ状態です。

散歩途中に通りがかったアロットメントと呼ばれる家庭農園でせっせと畑を耕している人の姿も見かけます。新鮮な野菜を自分で栽培して安全かつ安定的に食料確保することは自給自足につながって安心も得られるのかもしれません。

何より、戸外で春の日差しを浴びながら土に触れることはそれだけで幸せな気持ちになれるもの、私も暇を見つけては庭仕事を楽しんでいます。

まとめ

誰でも新型コロナウイルスに感染したくはないし、そのおかげでこれまでの生活ができなくなったり、それどころか仕事や収入まで途絶えてしまう人もいるわけで、厄介なものであることには違いありません。

けれども、私たちはこの感染症と当分は共存しないといけないのです。それならそれをきっかけにして世の中をよくしていくこと、その変化に適応していくことを考えていくべきです。

挙国一致で戦った第2次世界大戦後にイギリスをはじめ各国で民主的な社会福祉制度が生まれ、格差が少なくなり、健康保険などのセーフティネットができたように、今回もこれまでとは異なる時代が始まり、新しい考え方が浸透していく気がします。

資本主義のもと、都会で忙しく働き稼いだお金で物質的、刹那的な享楽を追い求める高学歴エリートと、その恩恵にあずからない人々との格差が開く一方だった時代。それに対して、人生で本当に必要なものはお金やホリデーではなく健康や家族と穏やかに過ごす日常生活だと気づくこと、人の命は平等に尊いものであり、生活に本当に必要な仕事をする人が大切にされるべきだという認識。

都市で窮屈な環境に身を置き、いざというときに小さな住環境に閉じ込められるより、無理をせずとも社会的な距離が確保できる田舎で、地域の人と助け合いながら生活していくライフスタイル。

その上で、デジタルツールを駆使して遠くの人々ともコミュニケーションや協力をはかり、新型コロナウイルス感染症をはじめとする世界の様々な課題に取り組んでいく時代。

それが実現したら、ここ数十年来地球規模の課題だった気候変動にも、今度こそ国際的な協力を結集できるかもしれません。

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