衰退した観光都市をBIDでよみがえらせる:サウスポート

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BID(Business Improvement District)という手法を使ってタウンセンターの活性化に取り組んでいるサウスポートについて紹介します。

サウスポート Southport

サウスポートはイギリス北西部にある、ビーチ・リゾートとして栄えた街です。

しかし時代は変 わり、イギリスではホリデーというと庶民でも気軽にスペインやイタリアなど海外に出かけるようになりました。

かつてにぎわったゲームセンターには閑古鳥がなり、遊園地は閉鎖され、街に連なるおしゃれ なブティック街も空き店舗が目立つようになりました。

街の景気が悪いと企業が地方自治体に払う Business Rate(事業用固定資産税)も少なくな り、公的財源も圧迫するため街全体の整備やサービスにも支障が出ています。

そういう状況を何とかしようと、サウスポートの事業主たちは地方自治体と協力してBID( Business Improvement District)という制度を利用することに決めました。

BID (Business Improvement District)

BIDとは欧米諸国で定着 している地域活性の仕組みで、区域内の不動産所有者や事業主がお金を出し合い、区域の環境 改善やマーケティング活動を行うものです。

サウスポートBIDは、主に店舗が集まる中心商店街 の区域の商業環境の改善・発展を目指すのを目的としています。

https://globalpea.com/bid-2

サウスポートBID

サウスポートBIDは2014年に設立され、約950のビジネスが参加しています。

その主な目的はサウス ポート・タウンセンターの店舗、サービス業、レジャー、ホテルなど商業的な発展を目指すことで、 参加企業や不動産所有者、地方自治体であるセフトン・カウンシル(Sefton Council)と協力し て様々な取り組みをしています。

サウスポートBIDは街の歴史的な建築物や環境を維持改善し、サウスポートならではの魅力を 提供するとともに、老若男女誰でもがポジティブな経験ができる活気ある街づくりをする事を 目指しています。

訪問者を増やすことによって街のビジネスの商業的な成功を目指し、地元の雇用を促し、街の経済を活性化することが重要課題です。

BID参加企業は全員BID運営資金を支払っているので、その分の売 り上げ増加をという願いは大きいのです。

イベントやマーケティング

サウスポートでは街の中心地区での新しいイベントも年中を通して行うことにしました。

また、内外に効果的なマー ケティングをして、外からサウスポートへの訪問者を惹きつけるとともに、地元民もタウンセ ンターを訪れたいと思うような街づくりをする事も重要な戦略です。

BID制度の構造と資金

BIDが従来の地域再生プロジェクトと大きく異なるのは、自治体など公的機関がトップダウン で行うのでもなく、民間のボランティアがリーダーとなってボトムアップで行っているのでも ないことです。

地域内の受益者(不動産所有者やビジネス)全員がBusiness Rate(事業用固定資 産税)に上乗せする形でBID運営資金を払っているのでBID活動への関心とコミットメントが深 まります。

カネを出しているからこそ、元をとらなければという気になるのは当然といえましょう。

この方法だと何も負担しないで利益だけは受け取るフリーライドの問題もないし、強いリー ダーがいなくてもBID運営チームに任せることでプロジェクトが進んでいきます。

もちろんプロ ジェクト立案から実行、その後の振り返りまで一貫して参加企業はパートナーとして協力して いくし、成功させようという気合も入ってくるというものです。

サウスポートBID、1期から2期へ

サウスポートBIDは2019年度で5年のプログラムが終わりますが、2018年末までで、BIDの目標の90 %は実行しているといいます。

BIDチームは2019年のあと、BID2期目をさらに5年間継続するとして、このほどBIDを継続するかどうかの投票を行いました。

その結果、過半数の賛成を得て2期目を更に5年間継続することに決まりました。

BIDを5年間続けてそれで終了するオプションもあったのに過半数がさらに5年間続けることを希望したということは、1期目でBIDの恩恵を感じた事業主が多かったという証拠でしょう。

これからさらに5年間のプログラムを実行することで、BID一期目の5年間に積み上げた成功体験の上にさらに実績を重ねて行くことができるかどうかは、これからも見守って行きたいと思います。

 

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