最近久しぶりに電車に乗ってリヴァプール経由でチェスターに行ってきました。それで気が付いたのは電車に自転車を持ち込む人がかなりいることと、自転車利用者のための施設が増えてきていることです。自転車と公共交通機関が併用できると、自家用車を持たなくても移動が自由になりそう。
電車への自転車持ち込み
イギリスでは、原則として電車に自転車を持ち込むことは許可されています。折り畳み自転車はもちろんですが、折りたたまないでもそのまま載せてOK。輪行バッグなどに入れる必要もありません。
自転車(や車いす、ベビーカー)用のスペースがあらかじめ用意されている車両があるので、自転車を載せたい人はそういう車両を選んで載せています。
そのスペースがなかったり、いっぱいだったりする場合は、ドア付近などに何とかスペースを見つけて無理やり乗せるようです。
混んでいる社内では邪魔にもなりますが、その辺はみんなお互いさまという感じで譲り合っています。これはベビーカーや車いすでも同様。
私が乗った電車はそれほど混んでいませんでしたが、夕方リヴァプールの町中から郊外に向かう電車は、通勤や外出帰りの乗客で立つ人もかなりいるような混雑状態。
それでも、私が乗っていた車両のドア付近には自転車を持った人が2人いて、それなりにスペースを見つけていました。
これ以上混んでいたり、ベビーカーを載せたい人もいたりすると、難しいこともあるかもしれません。そういう時は別の車両でスペースを探したり、次の電車を待ったりするのかなと想像しました。
ちなみに、プラットフォームから車両へのアクセスもスムーズで、バリアフリーになるよう設計されています。ベビーカーもたたまないまま楽に電車に載せることができます。
自転車の保管場所
自転車の保管場所として、駅の外に自転車置き場があるのは想定内。イギリスにはママチャリのようなタウンバイクが少なくて、スタンドが付いていない自転車が多いので、バイクラックが用意されており、それに自分で持ってきたロックを付けておきます。
けれども、イギリスでは自転車の盗難が多いため、これでは高級な自転車を持つ人は不安です。
それで、最近は駅の駐車場などに、室内に自転車を置いておける自転車置き場が用意されているところが多いようです。
外から見えるガラス張りの建物だったりして、中の様子が見えるので、犯罪者が中に入って自転車を盗むということができにくくなっています。
さらにこれらの建物はCCTVカメラが付いているので、安心。
これらの自転車置き場に入るには専用のキーが必要となり、それは鉄道会社に申し込むと無料で家に送ってもらえるということです。
私もさっそく申し込んでおきました。これまで駅まで歩いて行っていたのですが、自転車だと時間を節約できます。
私が普段使うのはイギリス北西部マージーサイドにあるマージー・レイル(Mersey Rail)という鉄道会社で、その情報を見ると、すべての駅にこのような自転車保管場所があるようです。
駅の外に場所がないためか、駅の構内に自転車保管場所があるところもあります。
中には、プラットフォームにある場合も。
そういうところは、階段を使わなくてもいいようにプラットフォームに出るためにランプをもうけてあって、いたれりつくせり。
とはいえ、イギリスで自転車に乗る人は階段でも自転車を軽々とかかえて運んでいたりします。
ママチャリだと重いけど、ロードバイクなど、高級なほど軽いので。
自転車利用は増えている?
コロナ禍になって、電車やバスなどの公共交通を敬遠する人が増え、特にロンドンやパリなどの都会では自転車利用が目に見えて増えました。自治体でも「コロナ・サイクルレーン」を作るなどしてインフラ整備に力を入れたり、自転車購入に支援金を出すなどの政策を導入したことも追い風に。一度自転車に乗る習慣が身についてしまうと、コロナが去った後でも自転車を利用し続ける人が多いようです。ロンドンでは自家用車利用を制限する政策もあいまって、経済的な理由から自転車を利用する人も増えてきました。高い家賃に苦しむロンドン民は、この物価高の中、少しでも節約する必要があるのです。
けれども、大都会以外のイギリスの地方では、まだまだ自家用車依存が高いと言えます。住んでいる場所が駅から遠かったり、公共交通機関がそれほど充実していないので、車がないと不便なことが多いからです。我が家も私が通勤していた頃は一家に車2台の生活でした。そして、車があると比較的短距離の移動でもつい車のキーを握ってしまうもの。特に子供連れだとそうなってしまいがち。
リヴァプールでもコロナ禍から自転車利用が推進され、中心部の駅近く、観光客もよく訪れる道路に立派なサイクルレーンが作られていますが、それほど利用者がいません。
中心地から郊外に出る幹線道路にも緑に囲まれた自転車道ができていて、気持ちよさそうです。ここでは、自転車やスクーターに乗る人を見かけました。
ロンドンでは反対にあいながらもULEZ(超低排出ゾーン)が拡大されましたが、似たような規制を導入しようという案はリヴァプールでは否決されたばかりです。
公共交通がさほど充実していない地方都市では自家用車に乗るのは贅沢ではなく、一般庶民の足となっているという理由。
その代わりに自転車道を作るなどして自転車利用を促進しているのですが、なかなか広まっていかないようです。
日本での輪行体験
日本の田舎はサイクリングに最適なので、日本に一時帰国するたびにサイクリングを楽しんでいます。いつもは実家の周りをうろうろするだけなのですが、「輪行」旅行をしてみたことがあります。日本でも新幹線を含む鉄道車両に自転車を持ち込むことができるのですが、バッグに入れないといけないのが少し不便。
折り畳み自転車なら簡単でしょうが、普通の自転車だと車輪を外して小さくして輪行バッグに入れることになります。慣れたらお手の物だし、長い距離ならそれほど苦にはなりませんが、通勤通学などの短い移動でこれをやるとなると面倒ですね。都会の電車など、混雑しているとそもそもそのスペースもないのですが。
田舎では電車がすいているので、スペースがある場合は自転車をそのまま載せてもいいような気がするのですが、だめなんですよね。鉄道会社によれば許可しているところもあるのかもしれませんが。
各国で、今は自家用車に頼らず徒歩や自転車、公共交通機関での移動を推進しているこの頃。車がなくても、電車と自転車を組み合わせると移動エリアはかなり広がるし、便利になります。自転車道などのインフラ整備も必要ですが、電車と自転車を組み合わせて利用する手立てをもう少し考えてもいいのではないでしょうか。