アノニマス渋谷区サイトハッキングの理由はホームレス問題

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Anonymous

1月3日に渋谷区のウエブサイトが国際ハッカー集団「アノニマス」に攻撃を受け、閲覧に支障をきたす状態が続きました。アノニマスはその理由として「渋谷区が再開発のためにホームレスを公園やシェルターから排除していること」としています。アノニマスとは、何者なのか、どうしてこのような行動に至ったのか?そして渋谷区はどのように対応しているのでしょうか。

渋谷区のウエブサイト障害

2023年1月3日に東京都渋谷区の公式ウエブサイト(https://www.city.shibuya.tokyo.jp/)がサイバー攻撃を受けて、アクセスが難しい状況になりました。

国際ハッカー集団である「アノニマス (Anonymous=匿名)」は、ハッキング攻撃の理由について、Twitterアカウントでこのように語っています。

渋谷区がホームレスのシェルターを閉鎖するので、我々アノニマスは渋谷区のウェブサイトを閉鎖する。

このメッセージには「美竹公園再開発」「神宮通公園強制排除」のハッシュタグが付けられています。

さらに続けて、渋谷区を非難するツイートを発信しています。

渋谷区は革新的なイメージを持っているが、実はホームレスが暮らす公園やシェルターを閉鎖し、路上生活者が使用するテントを取り上げたりして強制排除させている。
そのような行動を止めるまで、我々は渋谷区を攻撃し続ける。

アノニマスとは何者か?

アノニマスは世界各地でハッキングを行う国際ハッカー集団ですが、どんな人たちであるのかははっきりとは分からず、謎に満ちた集団です。どこかに本部があるとか、はっきりとした組織構造があるとか、リーダーがいるというわけではなく、同じような関心を持つハッカーたちがおもにオンラインを通じて行動しているようです。

アノニマスは各国で主に政治や表現の自由、人権問題などに関しての理由でハッキング行為を行っていたようですが、各メンバーはオンラインで緩やかにつながっているだけで、それぞれがばらばらに行動しているのではと推察されます。

主要メンバーも特定されておらず、謎に包まれているということもあり、この集団はそれほど有名だったわけでもありません。私がこの集団について知ったのは、2022年にウクライナに侵攻したロシアにアノニマスがサイバー攻撃を行ったことが話題になったことからです。

渋谷区サイトを攻撃した理由はホームレス問題

渋谷区サイト攻撃についてのアノニマスのツイートには「美竹公園再開発」「神宮通公園強制排除」のハッシュタグが付けられていますが、ほかにも#OpSafeWinterというハッシュタグが付いています。

これは渋谷区の件、また日本での出来事に限らず、広く世界中で寒い冬を戸外で過ごすホームレスの人々を守るための行動を呼び掛けるハッシュタグです。このタグが付いている他の投稿を見ると、イエメンやスペインなど他の国でもホームレスを助けようという趣旨のツイートが見られます。

そして、このハッシュタグが付いた他のツイートには、渋谷区以外の日本のサイトを列記しているものもあります。これによると、奥多摩、世田谷、東京五輪などのサイトも狙われたようです。

こちらについても「ホームレスシェルターを閉鎖するなら、ウエブサイトを閉鎖する」と言っています。

このアカウントは渋谷区について発信しているものとは異なるので、アノニマスの別のメンバーの行動かもしれません。

美竹公園再開発とホームレス

アノニマスが渋谷区サイトを狙ったのもホームレス問題のようですが、「美竹公園再開発」がどうしてそれと関係あるのでしょうか。

渋谷区は昨年、文化施設や都市公園の再開発事業のために区内にある美竹公園を閉鎖し、仮囲いを設置しました。そこには以前からホームレスの人々が生活していましたが、公園内に立ち入りができなくなりました。

それらの人々は渋谷区が借り上げた民間アパートに案内されたものの、公園内にとどまりたいと希望する人もいたそうです。このため、渋谷区は公園内で生活する路上生活者のテントなどを撤去したとして批判の声が上がっていました。

そこで起きたのが今回のアノニマスによる公式サイトハッキングだったのです。渋谷区はその後、ウエブサイトの復旧対応に取り組んでいますが、数日たった今でも、まだサイトには接続が難しい状態が続いているようです。

渋谷区の対応

渋谷区はサイトハッキング後に声明を発表し、「アノニマスによる妨害行為」と指摘はしているものの、その理由については何も語っていません。そして「本件に関する無責任な発信等には十分にお気をつけくださいますよう、お願い申し上げます。」と結んでいます。

渋谷区が「アノニマスによる」と指摘しているのなら、アノニマスが挙げている理由について説明すべきではないかと思いましたが、これについては後に区からコメントが発表されたようです。

渋谷区では路上生活者に対して他の自治体よりも手厚いサービスを行っています。

またシェルターは公園ではなく、個別のアパートを用意していることを改めてお伝えします。

区はホームレス支援のために「ハウジングファースト事業」を行い、無償で住居を提供するほか、NPOの協力の下で定住先のアパート探しを行っています。2018年度から2022年までに88人が利用し、うち62人が新たな定住先を見つけたそうです。

美竹公園のホームレスも2人はアパートに移りましたが、応じなかった人たちは現在も区立神宮通公園で暮らしています。支援団体によると、このような支援方法は自由がなく生活保護に頼りたくない人たちにはそぐわないということです。

渋谷区はアノニマスとは対話を行うつもりはないと語っていますが、それに対してアノニマスは1月6日に「ホームレスの方々との抗議活動を行う」と言っています。ハッキングの代わりに「ホームレスとの抗議活動を行う時。準備はいいですか?」と呼び掛けています。

この件がこれからどう展開するのか、当分見守っていく必要がありそうです。

神宮外苑再開発見直し署名も呼びかけ

アノニマスは渋谷区の件で、ホームレス問題と同時に「公園へのアクセスを制限する」ことについても問題視しています。公園というものはみなのものであり、ホームレスと言えども排除されるべきではないという考え。

さらに、公共の公園を商業目的で再開発して、自然環境を破壊したり、市民が緑の公的空間を享受する権利を侵害するべきではないという考えも支持しています。

このような理由から、神宮外苑再開発計画についても触れ、再開発計画の見直しを求める署名活動をも支持し、フォロワーに署名を呼び掛けています。

これには#ClimateActionNow のハッシュタグも付いています。アノニマスが環境問題についても関心があるとは知りませんでした。人権や格差問題に関心が深い人々は公共性を重んじ、地球環境を守ることにも熱心な人が多いので当然と言えば当然なのかもしれません。

去年はゴッホの『ひまわり』などの名画にスープやペンキを投げつけるなどの「エコテロリズム」が話題になりましたが、アノニマスもエコテロリストの一種という一面もあるのかも。

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