コロナ水際対策緩和で外国人観光客が日本へ:海外の反応

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日本のコロナ水際対策が10月11日に緩和され、個人外国人旅行客の入国が解禁されたことが海外でもさまざまなニュースで取り上げられていました。「やっと日本に旅行に行ける」というものが多かった半面、受け入れ側の日本について懸念する声もあります。

水際対策緩和

岸田首相が数週間前にコロナ水際対策を緩和すると発表してから書いた記事はこちら。円安の追い風もあり、日本の観光業界にとってはインバウンドの波が来るチャンスではあるものの、持続可能な観光にするためにはどうしたらいいかという内容です。

コロナ後のインバウンドに持続可能な観光を

 

今回は日本の「開国」に関しての海外の反応をまとめます。

日本の水際対策の緩和については、発表されてから海外で少しは報道されたものの、それほど大きくは取り上げられなかったので、3年間の鎖国で日本は既に忘れ去られてしまったのかもとあやぶんでいたのですが、10月11日に実際に「開国」されたとたん世界各国でニュースになっていました。やはり、外国人観光客が日本の空港に到着したり、おなじみの浅草あたりを歩いたりしているところをライヴ映像でうつすことで、自由に日本に入国できるのだということが実感となって受け止められているのでしょう。

多くのメディアは実際に日本を訪れた外国人を空港で取材して「3年間ずっと待っていたので、個人旅行客が入国できると聞いて初日の飛行機でやってきた。」という外国人観光客の声を報道。英語で書かれた記事だけでも英米豪をはじめ、一般紙から旅行専門サイトにいたるまで、様々なメディアで取り上げられています。

おりしも、10月14日にはニューヨーク外国為替市場で1ドル148円台と円が32年ぶりの安値となり、外国人にとっては日本はますます「安い国」となっていて、訪日熱も高まりそう。とはいえ、懸念事項もあり、それについても触れられている記事が多いようです。

観光業界のスタッフ不足

海外メディアで個人旅行客がやっと日本に行けるという朗報の後、必ずといっていいように付け加えられていたのが「観光業界の労働力不足によるキャパシティー問題」。観光地のホテルや飲食店などでコロナ禍に離れて行ったスタッフが戻ってこないために、すぐにはフルキャパシティ営業開始というわけにはいかないところが多いというのは、各国でも問題となっています。日本もそれが例外ではなく、突然の需要増に供給側が追い付かないのではないかと心配する声も聞こえます。

長い鎖国状態でホテルや店舗はシャッターを閉めたままで、ゴーストタウンのような観光地もあると書いてある記事もありました。具体的に数字をあげて、 1年前に人手不足を訴えていたホテルは27%だったが、今年8月の調査では73%に増えていたという報道も。実際に日本のホテルや飲食店、土産物屋などに取材して、経営者が「急遽スタッフを募集しているが、すぐに以前のように営業を再開できるわけではない」という声を伝えている記事もありました。

ただでさえ労働力不足のところ、コロナ禍で解雇されたスタッフは既に他の業界で働いていたりして、簡単には戻ってきません。特に観光業界は低賃金で長時間労働となることが多く、それほど労働条件がいい職場ではないというのも課題です。さらに、コロナ前までに頼っていた外国人労働者もコロナで帰国したまま戻って来ないままだったりします。外国人観光客にとってはうれしい円安も、海外から労働者をよぶにはデメリット。円建てで同じ報酬をもらっても、それを外貨にすると目減りするわけですから。

労働力不足解決法

とはいえ、労働力不足を補う方法はあります。特に、日本の産業全体の課題である、労働生産性を上げるということから始めるべきでしょう。一人当たり、時間当たりの労働に対する付加価値を上げるということについて日本はかなり遅れているため、余力はまだまだあります。

まずは安売りをしないということが大きな前提。円安のためもあり、今の日本の物価は欧米先進国に比べるとかなり割安なので、外国人観光客向けにはこの機会にかなりの値上げをしてもいいのではないかと感じます。

その上で労働力不足を補うために生産性アップを同時に行うべきです。徹底的に生産性を追求してきた外国のビジネスモデルに比べたら、労働生産性の面で追いつき追い越すキャパシティはかなりあるといえるでしょう。デジタル化をすすめたり、不必要なサービスを削ったり、効率性をはかることで生産性はかなり上がるはずです。

例えば先月日本に帰国した時に羽田空港を利用したのですが、JALのチェックインが全て機械化されていて、素早くスムーズでした。これまではカウンターの長い行列にトロリーに乗せたスーツケースと共に並んで、のろのろ進んで1時間近くかかることもありましたが、それがほんの10分ほどで終わりです。スクリーンに必要事項を入力してパスポートをスキャンして、スーツケースをベルトコンベアに自分で載せ、搭乗券と荷物受取証が自動で印刷されるのを受けとるだけ。この方法だと、いざというときに手伝いが必要となる人に対応するスタッフが数人いれば事足ります。他の空港でもみんなこの方式にしてほしいと強く望みます。

変なホテルも悪くない

さらに、今回は東京のホテルでも変わった事例に出会いました。

帰国時に日本から出発する飛行機に乗るため山口から国内線で羽田空港に行く必要があったのですが、台風のために搭乗予定便がキャンセルとなり、急遽前日の夜の便で羽田に飛ぶことになりました。ばたばたしていてホテルの予約もできず飛行機に飛び乗って羽田に着き、大きな荷物をトロリーに乗せて夜の9時にホテル探しというはめに。空港からタクシーで行けるホテルという条件でインターネット検索すると、「変なホテル東京 羽田」という、いかにも変な名前のホテルが出てきました。ツインの空き部屋があったのでとりあえず予約して、そのままタクシーで直行。

ホテルに着くと、カウンターにはなぜか恐竜や女性のロボットがいるだけ。チェックインは客が機械で行うセルフチェックインです。必要な情報を入力すると部屋のキーとなるカードが出てきます。エレベーターを使用する際にもそのカードをスキャンしないと動かなくなっている仕組みでした。ホテルの玄関には誰でも入れるので、フロントにスタッフがいないとセキュリティ上心配にもなりますが、誰でもエレベーターを使えるわけではないとなると宿泊フロアは安全安心というわけですね。

私たちが到着したのが夜遅かったからなのか、日中でもそうなのかはわかりませんが、ホテルに到着してから部屋に入るまで、ホテルスタッフを含め誰にも会いませんでした。翌日のチェックアウトも自分で行うセルフ式。空港への送迎はあるとのことなので、その時間に玄関に行くと、ちゃんと空港行きのマイクロバスが迎えに来てくれました。こちらはさすがに人間の運転手付きでちょっとほっとしました。スーツケースも運んでくれて、前日の夜利用したタクシーより親切でした。

無人ホテルなんて無機質だという印象を受ける人もいるかもしれませんが、今のご時世、ウイルス感染対策としても悪くないアイディアですね。チェックインもチェックアウトも素早くスムーズだし、ホテル側は人件費削減、特に夜間や早朝などの時間帯に余分のスタッフを置かずにすみます。高級ホテルではこういうわけにはいかないでしょうが、いくらすばらしいサービスを受けられるといっても、そのサービスを受けるために待たされるというのは、富裕層顧客だからこそ不満に思うもの。チェックインやチェックアウトの際に並ばなければならないようなところは閉口します。

そうかというと、日本の温泉地などのホテルでチェックアウト後の出発時に玄関にスタッフがずらっと並んで「お見送り」をしてくれるというようなおもてなしも、迷惑で居心地が悪いだけだし。ゆっくりと休暇を楽しむわけでもない宿泊なら、私はこの方が気楽でいいと思いました。

外国人嫌いの国という評判

海外では、日本の水際対策緩和というニュースは概ねうれしいこととして報道されているし、いよいよ日本に旅行に行けると喜んでいる外国人も多いです。一般向けメディアや旅行サイトなども日本に行くとどんなすばらしい体験ができるか、どこに行くのがおすすめかなどと旅行熱をかきたてる記事をのせています。特にこれまで日本に行ったことがないがいつか行きたいと思っているような人たちにとっては、円安の今なら割安感があることもあって、訪日熱がわきそうです。

けれども、そのかげでは、日本通だったり日本のことをよく知っている外国人からの否定的な声も聞こえてきます。

これについては、また次の機会にお話しします。

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