米国大統領選挙と気候変動問題:バイデンはパリ協定に再加入

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米国では11月3日に大統領選挙が行われましたが、その翌日の11月4日、米国はパリ協定から正式に離脱しました。大統領選の結果いかんにかかわらずの離脱です。

パリ協定

パリ協定は世界の約200か国が参加している国際的な枠組みで、2015年に採択されました。産業革命前以降の気温上昇を2度未満、できれば1.5度未満に抑えることを目標に掲げています。

ほかの多くの国と同様、米国は2016年にパリ協定を批准し、当時のオバマ大統領が合意に署名しました。

けれども、気候変動説に懐疑的なトランプ大統領はパリ協定に否定的で、2017年に大統領に就任したのち、米国はパリ協定から離脱する旨を表明しました。

そして2019年の11月4日に正式な離脱通告を国連に行い、離脱プロセスに必要な1年の期間を経た2020年11月4日に正式に離脱となったのです。

トランプ大統領はパリ協定は米国の企業や労働者に不利益を被るものであり、自国と国民を守るために離脱するのだと主張しました。彼は米国の石油・石炭産業を支援しその経済や雇用を保護するのは一国の大統領として当然の義務であり「パリではなく、ピッツバーグ市民を代表するのだ」と語ったのです。

トランプ大統領のパリ協定離脱表明については国連をはじめ各国から落胆と批判の声が上がりました。米国内では共和党やエネルギー産業からは歓迎、賞賛されましたが、オバマ前大統領をはじめとする民主党議員や学者、環境保護団体、環境問題を重視する国民や実業界からは批判にさらされました。

ニューヨークやサンフランシスコなどかなりの自治体の州知事が独自に「政府が何と言おうとも、我々はパリ協定を順守し続ける」と表明しています。

バイデン大統領が誕生したら?

大統領選挙は民主党候補バイデンが勝利したと報道されていますが、トランプ大統領はこれに異議をとなえています。

米国主要メディアの報道どおり、バイデンの当選がこのまま確定すれば、彼は2021年1月から4年間米国大統領として政権を担うことになり、トランプ政権は1期4年で幕を閉じることになります。

バイデンはかねてから環境問題に熱心で、「グリーンエネルギー革命」を公約に掲げています。大統領になったあかつきには就任初日にパリ協定に再加入するとも表明しています。

彼は2050年までに米国のCO2排出量を実質ゼロにする目標も掲げ、そのために今後10年間で1兆7000億ドル(約180兆円)の予算も予定し、1000万人の雇用を創出すると語ります。

米国の気候変動対策への期待

米国では国内世論も気候変動対策を後押しする傾向が高まっています。

トランプ政権の後ろ向きな姿勢とは裏腹に、ニューヨークやカリフォルニア州などの自治体やグーグル、アップルなどの大企業も気候変動問題に積極的に取り組んでいます。

さらに、カリフォルニアの山火事など身近に起きる異常気象の影響もあって、一般米国人も政府に気候変動問題への対策を期待する人が増えているのです。

気候変動に懐疑的だったトランプ政権の過去4年間、EU諸国などとは正反対に逆行していた米国の環境政策は、バイデン政権誕生とともに、また各国と足並みをそろえたものになると期待されます。

国境を越えた課題であるだけに、国連やEUをはじめとする国際的な協力も期待されます。かつてはCO2排出量を米国と競っていた中国でさえ近年は脱炭素化に向けて積極的な姿勢を見せているのです。

日本政府の気候変動対策

日本でも、菅首相が「2050年までにネットゼロ」目標を掲げ、国際的にも大きく取り上げられました。とはいえ、その目標をどうやって達成するのか、具体的な方法やマイルストーンがいまだに明らかにされていないことも指摘されています。

様々な政策で何かと米国に追随しがちな日本にとって、トランプ政権時代は気候変動についてそれほど重要視されてこなかった感があります。

けれども米国でバイデン大統領が就任したら、気候変動対策への国際的な取り組みは大きく前進すると予測され、日本も各国と足並みをそろえて世界の潮流から取り残されないようにする必要があります。

政府が主導権をとり、2050年ネットゼロの目標に向けた具体的、現実的な政策を発表し、その実現に向けて民間企業をどのように取り込んでいくのかを早い段階で検討、実施すべきです。

日本では新型コロナウィルス流行による経済の落ち込みで気候変動対策どころではないという声も聞きますが、欧州ではコロナ後の経済復興に気候変動対策を織り込む「グリーン・リカバリー」を提唱しています。

短期的な景気回復のために既存の石炭火力に頼るのではなく、長い目で見て再生エネルギー開発や省エネに投資をし、グリーンな雇用を創出することを目標にすべきです。

このことは、環境・社会・企業統治を重視するESG投資が国際的に重視されつつあることからも避けられない道です。

国際潮流から遅れを取り、国際的な投資機会から阻害されることのないよう、日本企業も危機感をもって方向転換を急ぐ必要があります。

米国バイデン新政権のもとで世界の脱炭素化への速度が一段と速まると予測される中、日本だけ取り残されるようなことがないように。

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