BTSがSDGsを推進、グレタも訴える気候正義はCOP26で進むのか?

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BTS

先日、韓国のKポップグループ、BTSが国連の「SDGモーメント」イヴェントに登場し、世界中の若者にメッセージを送ったことが話題になりました。9月20日に行われた国連SDGモーメントはSDGsの目標を達成するためのアクションについて呼びかけるものです。

国連のSDGモーメント

Covid-19という未曽有のパンデミックに見舞われた過去18か月は世界中で経済や生命を脅かし、貧困や不平等をさらに広げてしまう結果となりました。

このパンデミックは世界中で協力して収束に向かわせなければなりませんが、それと並行して、国連が掲げているSDGsの目標についても忘れず努力を続けようという狙いで行われたのがこのイヴェントです。

パンデミックを克服して未来世代につないでいくという趣旨のもとに、新型コロナウイルス克服に成功している韓国の未来世代の代表を招こうということで、BTSが招待されたのです。彼らは韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領から未来世代と文化のための大統領特使に任命され、若者世代の代弁者として出席しました。

BTSはこれまでも国連でメッセージを発しています。2018年にはユニセフの会合で肌の色やジェンダー意識に関係なく、自分自身を愛そうというメッセージを若者に発し、その力強い言葉が世界中の若者に届きました。去年は若者へのビデオメッセージで、コロナ禍で、日常がくつがえされ、毎日が暗く見えようとも、未来に向けて希望を持とうと伝えました。

BTSのスピーチ

今回BTSが国連で行った特別演説は、コロナ禍で機会を失った10代、20代がコロナによって青春を奪われた「ロストジェネレーション」ではなく、可能性と希望を信じて前に進む「ウエルカムジェネレーション」だと力強いエールを送るもの。

「世の中が止まったと思うのではなく、変化を恐れず挑戦を続けて前に進む世代なのだ」と、メンバーが1人ずつ順番でメッセージ。

メンバー全員がワクチン接種をしたことも伝え、皆にも接種を呼び掛けました。そして、みんなと共有したい「ウエルカム」メッセージとして『Permission to Dance』のパフォーマンスビデオが流れました。

BTSのライヴ発信は全世界で100万人の視聴者を集め、国連公式のYouTube映像は、10日たった今、2500万再生を超えています。国連の活動について、若い世代に広く呼び掛けるのにこれほど適した「親善大使」はいなかったのではないかと思われます。

Youth4Climate(若者気候サミット)

BTSの国連パフォーマンスの1週間後9月28日には、イタリアのミラノでも、若者のための「Youth4Climate」サミットが行われました。

スウェーデンの環境活動家、グレタ・トウーンベリの活動がきっかけとなって始まった温暖化対策を求める若者たちの抗議活動「未来のための金曜日」は世界中に広がり、2019年には国連の温暖化対策サミットに合わせてニューヨークでサミットが行われました。

去年はコロナ禍で対面で集まることが難しく、オンラインでの開催となっていましたが、今回はミラノで世界中から若者が集まり、グレタも参加してスピーチをしました。

グレタの気候変動スピーチ


グレタのスピーチは、過去にトランプ大統領を批判したときのように、「世界のリーダーたちは言葉ばかりで何もしていない」という厳しいものでした。

私たち若者は気候変動への取り組みのために、ずっと声を上げ続けている。
世界のリーダーたちは若者の言葉に耳を傾けていると言う。
でも、それは行動には反映されていない。
過去30年間、何もしてこないまま、空っぽな言葉を並べるだけ。

グレタは「グリーン・リカバリー」「グリーン・エコノミー」「より良い復興」「2050年までに実質ゼロ」など、欧米諸国のリーダーたちが掲げるスローガンについて「べらべら言っているだけ」と行動につながらない空疎な約束を述べているだけの政治家を批判しました。

気候正義(Climate Justice)とは

若い人たちは「気候正義(Climate Justice)」という言葉を使い、大人世代が生み出してきて、その問題を解決するための方策をしてこなかったツケを、これからの世代が払わされると批判します。特に政治家は、今自分たちが選挙で勝ったり人気を失わないことを優先するので、気候変動のような長期的視野が必要な問題については及び腰であると指摘するのです。

もちろんこれは政治家だけでなく、私たち大人世代1人1人の問題でもあります。気候変動による深刻な悪影響は自分たちが生きている間には起こらないだろうと考え、目の前の経済問題や日々の生活・娯楽にかまけてしまいがちなので。

気候正義と言うのはもともとは世代間だけではなく、先進国や富裕層と発展途上国や貧困層の間での不公平のことを指しています。

これまで化石燃料を大量消費してきた先進国・富裕層が引き起こしている気候変動によって起こる被害を、自らはあまり消費してこなかった人たちが引き受ける形になっていることへの問題意識です。

COP26国連気候サミット

まもなくイギリスのグラスゴーで、国連気候サミットCOP26が開催されます。本来は去年の11月に予定されていたものが、1年延期されての開催です。

COP26では、2015年のCOP21で採択されたパリ協定の合意である、地球の気温上昇を産業革命前比で1.5度以下に抑える目標を達成するために各国がどのような具体的な目標を掲げるかが争点となります。

トランプ大統領下でパリ協定から離脱していた米国が、バイデン新政権でパリ協定に復帰しました。4月にはバイデン大統領が気候変動首脳会議をオンラインで開催するなど、積極的な姿勢を見せていて、期待が膨らんでいます。

とはいえ、各国の目標を達成するための具体的な方策についてはまだ不透明なところも多く、解決方法についての各国間の見解にもギャップがあります。たとえば、欧米諸国はおおむね厳しい対策を打ち出していますが、中国やインドは環境配慮と経済成長のバランスが重要だと強調しています。

さらに、気候変動対策への取り組みが不十分だと批判されているオーストラリアのモリソン首相が、最近になって出席しない意向を示していたりもしていて、若干の不安もよぎります。

BTSやグレタに触発され、気候変動問題に対しての取り組みを期待する若者たちの声に、世界のリーダーたちはCOP26で答えることができるのでしょうか。

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