私たちがやっているグローバルリサーチのニックネームは「Global Pea(グローバル・ピー)」。これってどんな意味なのかと聞かれたので、その由来を説明します。それにはイギリスの我が家の庭の話から。
庭の収穫
暗くて寒い季節が長いイギリスですが、夏は適度な気温の快適な日が続きます。在宅で仕事をしていると、ついふらふらと庭に出たくなる毎日。
仕事の合間のお茶やランチを食べるガーデンテーブルは果樹コーナーのそば。リンゴと洋梨の木についているたくさんの実が日に日に大きくなるのをながめつつ、摘果なる作業をしなければと思い、結局思うだけでほったらかし。
果樹畑や野菜畑(というほど大きくはないけど)の前列にはいちごを植えていて、6月頃はずっと毎日のようにいちごがデザート。そのいちごはもうほとんど終わってしまい、その後に熟してきたレッドカラント、ブラックカラント、グースベリーを収穫し、先週ミックスベリージャムを作りました。半分ほどは冷凍しておき、夏の終わりに野原で収穫するブラックベリーと混ぜて、違う種類のジャムも作るつもりです。まだ去年のジャムを全部食べ切ってもいないのに。ここ数年人と会うことが少なかったので、今年は早めにおすそわけしなければ。
小さな畑には、レタス、水菜、葉ブロッコリー、ラディッシュ、パセリ、ズッキーニ、豆類(さやえんどう、ソラマメ、インゲン)などが育ち、鳥やカタツムリ、ナメクジに半分食べられながら、残りの半分を収穫。
まだ肌寒い春に種をまくときは、こんな小さな種からホントに芽が出るんだろうかと半信半疑。でも、たいていは律儀に芽を出し、すくすくと育っていくことに、毎年のように驚いています。特に豆類はあれよあれよと背が高くなるので、前庭に植えている竹を剪定して作った支柱をあわてて持ってきて支えなくてはなりません。
Global Pea
英語で「豆」を表す言葉は、’bean(ビーン)と ‘pea’(ピー)の2種類があります。この違いが何なのかよくわからないのですが、ビーンの方が大きいというイメージでしょうか。
‘pea’はグリーンピースのような小さな丸い豆で、私たちがやっているグローバルリサーチのニックネーム「Global Pea」の由来でもあります。
‘global’は「世界の」「地球の」という意味なので、「Global Pea」は「世界の豆粒」ということ。
一つ一つは小さな豆粒だけど、土にまいて水をやり肥料を与えて育てると少しずつ大きくなる。そんな豆粒があちこちにあって、それぞれに栄養を与え、大切に育てたら世界中が豊かな緑でいっぱいになる。
そうした活動をしていきたいという意味。イギリスにいても、日本にいても、どこにいても。
この考えはSDG17の理念につながるものだと思っています。
SDG17 パートナーシップ
国連の持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)の根底となる理念であるSDG17番目のゴールは「パートナーシップで目標を達成しよう」。国連が掲げる、SDGsの様々な目標を達成するために、世界中の1人1人が参加して、皆で助け合うということです。
これまで国連が行ってきた活動、たとえば2000年に定められたMDGs(ミレニアム開発目標)は主に先進国による開発途上国への支援という形をとっていて、各国の政府間の合意や取り組みという意味合いがありました。それに対して、SDGsは先進国も含めた世界の全ての国が取り組むアジェンダであり、国連や政府などの公的機関だけでなく、全世界の民間企業や一般市民も課題解決に参加するべきだとしています。
利益重視の経済活動がしばしば環境破壊や格差拡大などの問題を生む弊害をもたらしていることから、民間企業や一般市民も含むすべての人々が自分ごととして考えるべき目標だと位置づけたという背景があります。日本やイギリスに住む私たちは、たまたま運よく豊かな国に生まれ、その恩恵を受けているけれど、そうでない人もいます。豊かな国の中にも格差があったり、日々の生活を送る上で様々な課題や悩みを抱えている人たちがいることを、同じ社会に住んでいるのに気が付かないこともあります。
私たち一人一人が、そういう人たちにも手を差し伸べて、自分ができることをする。
そして時代の垣根を越えて、次世代の人たちのことも、種の垣根を越えて人間以外の動植物、ひいては地球環境のことも考えるという、横のつながりと縦のつながりを大事にする活動を行っていきたいと思っています。